MAX 7 オーディオ処理基礎3
line〜オブジェクトは、2つの数値を受け取ると、それを"目標値"と"目標値までの到達時間"と解釈して、現在地点と目標地点の2点の間を滑らかに結ぶ補完作業を行う。
これによって、例えばボリューム操作を行う時の、波形の不連続が起こすクリックノイズを解除することが出来る。また、ボリュームだけではなく、周波数やその他様々なオブジェクトのパラメーターを滑らかで連続的にコントロールしなければならない場面に重宝するオブジェクトとなる。
これと関連して、gainオブジェクトがある。gain オブジェクトは垂直スライダーと形状がよく似ているが、シグナルを扱うオブジェクトであり、フェーダーによってボリュームをコントロールする。
右インレットがlineオブジェクトで言うところの目標数値への到着時間となり、ここに数値を与えてフェーダーをコントロールすることで滑らかな変化を実現できる。
※gainオブジェクトは、MIDIにおけるボリューム(0〜127)と同様の考え方による、指数曲線でボリュムをコントロールする。フェーダーの値は127が基準値0dBとなり、[*〜]オブジェクトで1を乗算した状態と同じになる。
そこから10減少して117になれば-6dB、さらに減少して107になれば-12dBとなる。つまり、フェーダー10単位で6dBごとに変化するわけである。
さて、dB単位の話が出てきたので、少し掘り下げて改めて音圧とdBについて復習してみたいと思う。
そもそも、音には重さも面積もないので、計測の仕方は空気の圧力とその倍率で行うこととなる。つまり、ある基準を作り、その基準に対してどのくらいの音圧すなわちエネルギー量であるかを示すことで決定するわけだ。
まず、人間が聞くことの出来る音の大きさ(音圧レベル20μPa=マイクロパスカル)を0dBと定めた場合に、その音圧が2倍、3倍....1000倍、1000000倍までと、倍率で表示すると桁数が非常に大きくなって分かり難くなってしまう。そのため、その数値を、桁数を抑えて比較的分かり易い数値にするために考えられたのが、dBの表示方法なのである。
・20,000,000μPa:ジェットエンジンの音
・2,000,000μPa:工事現場
・632000μPa:犬の鳴き声
・200,000μPa:電車の音
・63,200μPa:賑やかな事務所
・20,000μPa:普通の会話
・6,320μPa:静かな事務所
・2,000μPa:図書館の中
・200μPa:ヒソヒソ話
・20μPa:聞こえるか聞こえないかの音
そして、このμPa/マイクロパスカルとdBを計算する式が、
(測定したい音圧/基準音圧)
音圧(dBSPL)=20×log10
となります。
ここでいう、「測定したい音圧/基準音圧」というのが、何倍の音圧になるというのを示しています。
例えば、ある音が10倍に大きくなったとすると、それが一体何dB上がっているのかを計算するには、
(10/1)
音圧(dBSPL)=20×log10
となり、答えは20dBとなる。
この式に乗っ取っていくと、人間の聴感限界を0dBと定めた場合、
・2倍(すなわち20×log10[2]=20×0.301)=6dB
・3倍(すなわち20×log10[3]=20×0.477)=10dB
・4倍(すなわち20×log10[3]=20×0.602)=12dB
・10倍(すなわち20×log10[10]=20×1)=20dB
・100倍(すなわち20×log10[100]=20×2)=40dB
・1000倍(すなわち20×log10[1000]=20×3)=60dB
・10000倍(すなわち20×log10[10000=20×4)=80dB
・100000倍(すなわち20×log10[100000]=20×5)=100dB
・1000000倍(すなわち20×log10[1000000]=20×6)=120dB
というように表すことが出来る。